迷わない AI の選び方第4章

CHAPTER 04

「依頼の型」:決めてから、一気に出す

  • 確認日 2026年10月28日
  • 読了の目安 約17分

この章でできるようになること

  • AI への依頼を、一度で、やり直しなく出せる
  • AI が勝手に足してしまうこと(曜日、謝罪、約束)を防げる
  • すぐ使えるプロンプト9本を、コピーして使える(動かして確認済み)

失敗談から始めます

プロンプトを最初にしっかり決めないと、何度も指示を出すことになり、消費が大きくなります。 体験談
多くの人が、ちょっとずつ、ちょっとずつ指示を出していると思います。
プロンプトは、一気に出したほうがいい、というのが僕の考えです。

特に、クレジット制の Manus では、指示のやり直しが、そのままお金に変わります。(クレジットは、作業の複雑さと所要時間で減ります。公式)
定額の Claude でも、長い会話や、くり返しの作業は、上限を早く使います。公式

ただし、「一気に出す」は、「雑に、長く書く」という意味ではありません。
先に決めて、一度で渡す、という意味です。

「一気に出す」ための3つの考え方

1. 決める作業は、先に済ませる

「何を作るか」「誰のためか」「どんな形で」が決まっていない状態で頼むと、AI は想像で埋めます。
想像で作った結果は、直しが増えます。

2. 材料は、説明せず、渡す

ファイル、数字、文章は、説明するより、そのまま貼る・添付するほうが効率的です。公式
(Claude Code では、@ファイル名 で渡せます)

3. 不確かなところだけ、小さく試す

全部を一気に出すのと、不確かな部分だけ先に小さく試すのは、矛盾しません。目安

  • 決まっている部分 → 一気に出す
  • 自信がない部分(初めて頼む種類の仕事、費用が大きい作業)→ 先に小さく試す

Manus に作らせた活用ガイド(公式文書をもとにした編集版で、公式発行物ではありません。付録Fに、選んだプロンプトを収録)にも、「高コストになりそうな工程は、先に小さな確認タスクに分ける」という同じ考え方があります。参考

依頼の「5点セット」

依頼に必要なのは、次の5つです。

#項目書くこと
1目的何のために、誰が何をするために使うか
2材料使ってよい資料・情報。ないなら「なし」
3やってほしいこと手順や範囲
4出力の形形式、長さ、ファイル名
5守ること足さない、推測しない、禁止事項

Anthropic の公式の説明でも、「文脈を知らない、優秀な新人に説明するつもりで書く」「文脈をほとんど知らない同僚に読ませて、混乱するなら、AI も混乱する」とされています。公式
Manus に作らせた活用ガイドにある「目的・読者・根拠・出力・完了条件」の5部品とも、ほぼ同じ考え方です。参考

悪い例と良い例

依頼文
悪い例「値上げのお知らせを書いて」
良い例5点セット(下のプロンプト P2)

悪い例は、値上げの理由も、金額も、日付も、AI が想像で埋めます。
良い例は、材料を渡して、足さないことを約束させます。


すぐ使える、プロンプト9本

使い方は、どれも同じです。

  1. コピーする
  2. [ ] の中を、自分の情報に書き換える
  3. AI に貼り付ける
  4. 結果を、自分の目で確認する(「確認すること」を見てください)

検証の見方:2026年10月28日、Claude(Sonnet 5.5)で、架空のデータを使って、各1回試しました。
同じ結果になるとは限りません。必ず、自分の仕事のデータで試して、自分の目で確認してください。
(P1 は第1章に載せています。)

P2:依頼の5点セット(足りなければ、質問だけ返す)

使いどき:はじめて頼む仕事、文章づくり全般。

コピーして使う
【目的】[何のために使うか。誰が何をするために]
【材料】[使ってよい資料・情報。ないなら「なし」]
【やってほしいこと】[手順や範囲]
【出力の形】[形式・長さ・ファイル名など]
【守ること】
- 上の材料にない事実・約束・謝罪は足さない。
- 曜日は書かない(日付だけを書く)。
- [そのほかの禁止事項]
作業に必要な情報が足りない場合は、作業せずに、質問だけを返してください(最大3つ)。足りていれば、質問せずにそのまま作業してください。

確認すること

  • 材料にない数字・日付・約束が、入っていないか
  • 「要確認」として出てきた点を、自分で確かめる

検証

  • 情報が揃っているとき(美容室のカラー値上げのお知らせ文):質問せずに、約200字の文章が出ました。最後に「要確認」の一覧が付きました。曜日は書かれず、材料にない謝罪や約束も足されませんでした。ただし、材料にない一文(「ご不明な点は、スタッフまでお気軽にお尋ねください」)が入り、それは「要確認」で自分から指摘されていました。本文の一文一文も、読んで確認してください。
  • 情報がないとき(材料「なし」):作業せずに、質問3つだけが返ってきました(対象メニューと価格、開始日、店名と理由)。

P3:先にインタビューしてもらう

使いどき:やりたいことが、まだ整理できていないとき。いきなり作らせない。

コピーして使う
[やりたいこと]をしたいのですが、まだ整理できていません。
作る前に、私にインタビューしてください。
- 1回に聞くのは最大3問。選択肢をつけて聞く。
- 仕様が書けるまで質問を続ける。
- 十分になったら「目的・対象・材料・出力の形・守ること・やらないこと」をまとめた仕様書を出す。
作業そのものには進まないでください。

確認すること

  • 質問が選びやすいか。選択肢にないときは、自分の言葉で答える
  • 仕様書ができたら、新しい会話で、その仕様書を渡して作らせる(会話が長くならず、やり直しが減ります)公式

検証「小さな美容室のホームページに、予約を増やすページを作りたい」と入れると、3つの質問(ページの目的、予約の方法、今のホームページの状態)が、選択肢つきで返り、作業には進みませんでした。

Claude Code の公式ガイドにも、同じ手順(インタビュー → 仕様書 → 新しい会話で作る)が載っています。公式

P4:会議メモを、議事録にする

使いどき:会議メモ、通話メモ、文字起こし。

コピーして使う
次の会議メモを、議事録の形に整えてください。
出力の形:「決定事項」「TODO(担当・期限)」「次回までに確認すること」の3つの見出し。
守ること:
- メモに書かれていないことは補わない。
- 「今週金曜」のような相対的な日付は、日付に直さず、そのまま書く。
- 不明な項目は「未定」と書く。
会議メモ:
[ここに貼る]

確認すること:決定事項と担当者が、メモと合っているか。

検証架空の会議メモ(参加者3名、決定事項1つ、TODO2つ)で、「今週金曜」は日付に直されず、不明な担当・期限は「未定」と書かれました。メモにない情報は、足されませんでした。

P5:送るメールの下書き(足さない・確認点を出す)

使いどき:お詫び、お断り、お願い。特に、責任に関わる文面。

コピーして使う
次の内容で、[相手]に送るメールの下書きを書いてください。
伝えること:[伝えること。事実だけ]
守ること:
- 「伝えること」にない事実、謝罪や責任を認める表現、約束、期限は、本文に足さない。
- 足したほうがよいと思うものがあれば、本文には入れず、最後に「確認したい点」として一覧にする。
- 丁寧すぎず、自然なビジネス文にする。
出力の形:件名 / 本文 / 確認したい点

確認すること

  • 責任を認める表現、約束、期限が、勝手に入っていないか
  • 「確認したい点」を読んで、足すかどうかは自分で決める

検証

この指示がないと、AI は頼んでいない一文を足すことがあります。
お詫びメールを頼んだとき、「事前に在庫状況を十分把握できていなかった点は、当社の管理不足でした」という、責任を認める一文が、頼んでいないのに入りました。(別のテストの結果)

上のプロンプトで同じ内容(納品が2日遅れる、新しい納品日、原因、再発防止)を頼むと、本文に謝罪や責任の表現は入りませんでした。
かわりに「確認したい点」に、「お詫びの一言を入れるか(今回は入れていません)」などが書かれました。

責任に関わる一文は、AI に決めさせず、自分で決める。これが、この型の狙いです。

P6:SNS投稿の下書き(制限を決める)

使いどき:Instagram、X、LINE配信の文面。

コピーして使う
[業種]の[媒体]投稿の下書きを[3]案作ってください。
根拠にしてよい情報:[キャンペーン名、内容、期間、予約方法など。事実だけ]
守ること:曜日は書かない。各案は本文[120]字以内、ハッシュタグ[3]つ、絵文字は[1]つまで。上の情報にない実績・数字・体験談は作らない。
出力の形:案ごとに「本文」「ハッシュタグ」「事実確認が必要な点」。

確認すること

  • 文字数、ハッシュタグ、絵文字の数を、自分で数える
  • 「事実確認が必要な点」を、投稿前に確認する

検証

  • 「曜日は書かない」の一文がないとき、「10/31(金)」という曜日が入りました。実際の10月31日は土曜日でした(AIは自分で誤りに気づき、修正版を付けました)。
  • 「曜日は書かない」を足すと、曜日は書かれませんでした。3案とも、本文は48〜68字(上限120字以内)、ハッシュタグは3つ、絵文字は1つ以下(0〜1個)でした。

P7:CSVの集計(式を出させて、基準を決める)

使いどき:売上、アンケート、在庫など、数字の表。

コピーして使う
[ファイル名]を読んで、次をまとめてください。
1. [担当者ごとの売上合計と、全体の合計]
2. 「一番売れた[メニュー]」を、金額で見た場合と件数で見た場合の両方
3. 計算に使った行数と、計算の式(検算できる形で)
守ること:数字を推測で補わない。ファイルに無い情報は書かない。

確認すること

  • 合計を、自分でも1回、計算する(Excel でも電卓でも)
  • 「一番」「多い」のような言葉は、基準(金額か件数か)を決めて頼む

検証架空の売上10行で試すと、担当別の合計(31,900円 / 26,400円 / 20,900円)と全体(79,200円)が、正解と一致しました。「一番売れたメニュー」は、金額ではカラー、件数ではカットと、両方が出ました。計算式と、行数の検算も付きました。

ただし、行数が多いデータでは未確認です。必ず、自分でも検算してください。

P8:公開前の事実点検

使いどき:ブログ、LP、SNS、チラシなど、公開する文章。

コピーして使う
次の文章を、公開する前に点検してください。
やってほしいこと:文章の中の「事実として書かれている主張」を拾い、それぞれ「根拠があるか」「確認すべき一次資料や確認先」「誇張や誤解の恐れ」を分けて一覧にする。
守ること:文章に書かれていないことを補わない。確認できないものは「未確認」と書く。あなたが検索していない事実を、確かめたように書かない。
文章:
[ここに貼る]

確認すること

  • AI が出した「確認先」を、自分で実際に確認する
  • 法律・医療・税務・金融に関わる点は、専門家に

検証「地域No.1」「どんなダメージ毛でも1回で必ず元に戻る」「今月だけ50%OFF」「98%が満足」を含む文章で試すと、4つの主張すべてについて、「文章内に根拠なし」「未確認」と整理され、確認先(調査資料、アンケートの元データ、通常価格の実績)と、誇張の恐れが出ました。
最初に「私は検索や外部確認をしていないので、真偽は未確認です」と断られました。
景品表示法(優良誤認・有利誤認)に触れる恐れの指摘もありましたが、一般的な指摘です。実際に違反かどうかは、専門家に確認してください。

P9:長い文章の要約(書かれていないことも出させる)

使いどき:報告書、メール、記事、議事録。

コピーして使う
次の文章を、忙しい[経営者]向けに要約してください。
出力の形:結論(2文)/ 要点3つ / 「この文章に書かれていないこと」(あれば)
守ること:文章にない情報は補わない。数字は原文のまま。
文章:
[ここに貼る]

確認すること:数字・日付・名前が、原文と合っているか。

検証架空の文章(LP公開日の変更、料金3案、広告の予定)で、結論2文、要点3つが返り、「3つの料金案の具体的な内容」「次回会議の日程」「広告の予算額」など、書かれていないことも一覧になりました。数字は原文のままでした。


勝手に足されるもの:要注意リスト

検証でわかった、AI が頼んでいないのに足すことです。
送る前・公開する前に、必ず探してください。検証

よく足されるもの例(実際に起きたもの)対策
曜日「12月1日(月)」(実際は火曜日)/「10/31(金)」(実際は土曜日)「曜日は書かない」と書く。日付は自分で確認
責任を認める表現「当社の管理不足でした」「謝罪や責任の表現は足さない」。足したいときは、「確認したい点」に回させる
約束・期限「詳細は、あらためてお知らせいたします」「材料にない約束・期限は足さない」
情報の言い換え「頻度を増やす」→「週1回行う」「数字と表現は原文のまま」
日付の推測「今週金曜」→「10/30」「相対的な日付は、そのまま書く」

AI が自分で気づくこともあります。今回の検証でも、AI は自分から「曜日が違う」と指摘しました。
でも、毎回とは限りません。最後の確認は、自分の仕事です。

つまずき表

症状原因直し方
質問されず、あいまいな文章ができる「足りなければ質問して」だけだと、AI が自分で埋める「作業せずに、質問だけを返して」と書く検証
曜日や日付が違うAI が、頼まれていない曜日を足して、間違える「曜日は書かない」。日付は自分で確認検証
頼んでいない一文が増えるAI が、気を利かせて足す「材料にないものは足さない。足したいときは、確認点に」検証
数字が合わない計算の間違い、行の取りこぼし式と行数を出させて、自分でも検算検証
「一番」が人によって違う基準(金額/件数)が決まっていない基準を決めて頼む。または、両方出させる検証
会話が長くなって、指示を忘れる長い会話では、前の指示が薄まる新しい会話にして、要点だけ貼り直す公式
毎回、同じ指示を打つのが面倒くり返しの手順を、保存していない第5章(Claude)・第6章(Manus)で保存する

「一気に出す」を、2つのAIでやるには

Manus に渡す依頼文は、Claude に書かせることもあれば、自分で書くこともあります。
初心者には、「Claude に書かせて、自分で添削する」形をおすすめします。 体験談

依頼文を、ゼロから自分で書くのは、むずかしいものです。
下書きを Claude に書かせて、自分は「直す」側に回ると、書き漏れが減って、やり直しも減ります。

流れ

① Claude に、Manus に貼る「依頼文」を書かせる(下の P19)
   足りない情報があれば、Claude が「質問だけ」返してくる
② 返ってきた依頼文を、自分で読んで、添削する(下の「添削のポイント」)
③ Manus に貼って、一度で作らせる
④ できたものを、自分の目で確認する

決める作業は、安く・手軽にできる場所で。作る作業は、1回に絞って。
Manus のようなクレジット制では、やり直しが減るぶん、そのまま節約になります。

P19:Manus に貼る依頼文を、Claude に書かせる

コピーして使う
次の仕事を、Manus に一度で任せたいです。Manus に貼る「依頼文」を書いてください。
やりたいこと:[何を作るか]
材料(事実):[使ってよい事実。ないなら「なし」]
守ること:実在しない実績・お客様の声・数字は作らない。公開・送信・購入はしない。質問せず、最後まで仕上げさせる。曜日は書かない。
依頼文の形:目的 / 材料 / 構成 / 条件 / 最後にしてほしい報告
足りない情報があるときは、依頼文を書かずに、質問だけを返してください(最大3つ)。足りていれば、質問せずに、依頼文を書いてください。
依頼文のほかに、「私が添削するときに確認する点」を、5つ以内で出してください。

検証2026年10月28日、Claude(Sonnet 5.5)で、各1回試しました。

  • 情報が足りているとき(架空の整体院のLPを作る依頼):質問せずに、Manus に貼れる依頼文が出ました。「目的・材料・構成・条件・最後にしてほしい報告」の形で、「材料にない事実・実績・お客様の声・数字は作らない」、医療効果の断定をしない(「治る」などは書かない)、リンク先が未定のものは、仮置きにして、作り話のURLを作らない、といった条件が、自分から入っていました。
  • 同時に、「添削するときに確認する点」が5つ出ました。その1つが、「『曜日は書かない』と、材料の『定休日は日曜』が、両立しない」という矛盾の指摘でした。(定休日だけは書く扱いにした、と説明されました)
  • 情報が足りないとき(「お店の紹介動画を作る」だけ、材料なし):依頼文は書かれず、質問3つだけ(お店の名前と業種、使ってよい事実と素材、動画の用途と長さ)が返りました。

添削のポイント(自分で読むとき)

Claude が書いた依頼文は、そのまま Manus に貼らず、必ず自分で読んで、次を確認してください。

自分で書く場合は、第4章の「5点セット」(P2)を使ってください。慣れてきたら、自分で書く場面が増えます。

この章のまとめ

  • 決めてから、一気に出す。やり直しは、時間とお金の無駄。
  • 5点セット:目的・材料・やってほしいこと・出力の形・守ること。
  • 足りなければ「質問だけ返して」と書く。
  • 曜日・謝罪・約束・日付の推測は、足させない。
  • 数字は式を出させ、自分でも検算する。
  • 送る前・公開する前に、必ず自分の目で。

出典と確認日(第4章)